神様、どうか。
社長は私の肩を抱くと、そのまま私を立たせた。
そして、社長のハンカチで鼻を押さえられる。
あ、この匂い。白檀の香りだ。
社長の香りだ。
「とりあえず来い。」
さっきと同じタクシーに押し込まれ、社長がドアを閉めると発車した。
車内では、鼻を押さえ続ける私の身体を社長が支えてくれている。
身体を包む温もりは、優しくてまた眠気を誘う。
あれ、もしかすると本物の社長なのかもしれない。
しかし、酔った頭は全く働かない。
幻覚でも幻聴でも、もういいや。