神様、どうか。



「君のことが心配なんだよ。」



…え?


社長が私の目を真っ直ぐに見てそう言った。


困ったように、焦ったように言った社長からは、いつもの余裕が伺えない。


それはどういう意味なんですか。

酔った頭では理解しきれない。


恋愛偏差値の低い私は、その言葉に好意を感じてしまいますよ?


酔った勢いで、一層のことそう言ってしまおうかと思ったとき、大事なことを思い出す。


舞い上がって忘れかけていたけど、聞いておかなければならない事がある。



「奈々、さんは?」

「奈々?なんで今奈々が出てくるんだ。」



出ますよ。だって私、そればっかり考えてたんですから。

今だって、社長が奈々って呼ぶだけで胸が苦しくなるんです。


涙が溢れ出しそうになるんです。溢れるのは鼻血だけで充分なのに。

< 242 / 284 >

この作品をシェア

pagetop