神様、どうか。
社長は満足そうにフッと笑い、私の頬を撫でる。
その余裕綽々な感じが、腹立つ。
「しゃ、社長は?なんでわざわざ自分のマンションにまで連れてきたんですか?」
私なりのやり返し。
言わされっぱなしじゃ腑に落ちない。
まだ社長の口から直接的な言葉を聞いたわけではないのだから。
「好きだからだ。」
社長は1ミリも表情を変えずに言ってのけた。
堂々と言われてしまい、なぜか拍子抜けしてしまう。
そんなにあっさりと言われるとは思わなかった。
呆然としていると、社長は縛られたままの私の手をとり、両手の間にできた輪の中に自分の頭をいれる。
そうすると、必然的に私が社長の首に手を回している形になってしまった。
「とことんツイていないのに、誠実に頑張ってるお前が好きだ。
神様に嫌われているのに、一生懸命生きてるお前が好きだ。」
顔だけではなく、身体までも近過ぎる距離になったとき、社長が吐いたのは溶けそうなくらい甘い言葉だった。