神様、どうか。


「お久しぶりー!」


期待を込めて勢いよく開いた扉の前に立っていたのは、


「お母さん、道子…。」


久しぶりに会う母と妹だった。


「え?なんで?」


今日来るなんて聞いてないんだけど。

久しぶりに会えた嬉しさと突然の出来事への戸惑い。

それになんとも言えないガッカリ感で心の中がごちゃごちゃだ。


「言ってたじゃん。夏にそっち行くよって。」

「いや、それは聞いてたけど日取りとか言ってこないからまだだと思ってた。」

「来ちゃった。」


ペロッとベロを出しながら言うお母さん。
来ちゃった、てお母さん。もうすぐ60だって言うのに。

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