神様、どうか。


夜に時間が作れそう、って言ってくれてたんだ。
突然の訪問者にびっくりして忘れてた。


目の前に母達がいるのも忘れて、慌てて通話ボタンを押してしまった。


「もしもし?」

『今、大丈夫か?』


久しぶりに聞く声に、会いたい気持ちがたかぶっていく。


返事をしながら席を立とうとすると、


ーーーガシッ

斜め前に座っていた道子に、右腕を掴まれた。痛っ。意外にも握力が強すぎる。


ちょっと、離しなさいよ!

目で訴えるけど、抑える手は強まるばかり。


「お姉ちゃん、彼氏?彼氏でしょ?」


目をキラキラさせている道子は、完全に嗅ぎつけている。

私まだ、『もしもし』としか言ってないのに。

さすがだ。
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