神様、どうか。
神様、私のこと嫌いですか?
「あんた、馬鹿じゃないの?
なんでそこで高いドレスのひとつやふたつ買ってもらわないのよ。」
「だって、なんか馬鹿にされたみたいで嫌だったんだもん。」
「それくらい我慢しなさいよ。相手は殿上人よ。
我々下々の者の強がりなんて、馬鹿馬鹿しいと思うに決まってるでしょう?」
うっ。手厳しい。
駅の近くに新しく出来たガレット専門店で、土曜日の昼過ぎに私に辛口アドバイスをしてくれているこの方は、私の会社の元同僚の坂下 夏子。
去年結婚退職した夏子とは、同僚時代から仲が良く今もこうして時々会っている。
「そうやって意地はってるから、幸子は彼氏が出来ないのよ。」
私のブラッドオレンジジュースを奪い取って言う夏子さんにぐうの音も出ない。
だって実際彼氏いないしな。もう何年いないだろう。
ああ、数えたくない。