神様、どうか。
「指輪ってさ、男は愛する女に必ず贈るものなのよ。」
え、そうなの?私、貰ったことないんですけど。
「だから、多分指はチェックされるよ。
ガラ空きだったら絶対に怪しまれるか、舐められる。」
「そういうもの?」
「そういうものよ。
あんた大丈夫?見破られない?下手したらクビが飛ぶかもよ。」
うぅ、胃が痛くなる。
そうなんだよね、これ見破られたら私のクビが危ない。
「社長の電話番号、高値で売れるかな。」
「交換したんだ。」
「うん、秘書さんを通してだけどね。」
ふーん、と鼻をならしながら細い目で見てくる夏子には悪いけど甘い展開はこれっぽちもない。
あれから、ずっと秘書さんを通して社内メールなどで当日の打ち合わせをしてる。