神様、どうか。

「今の状況だって、あんた結構窮地よ?
失敗したらクビは飛ぶし、成功しても相手のお嬢様に恨まれるわけでしょ。」


決定事項なのか。確かにそうだ。でも、


「まあ、考えようによってはただで一生行けないようなセレブのパーティに行けて、おいしいもの食べれるわけだし、ツイてるよね。」

あ、美味しいワインも飲めるかも。と言いながら夏子のガレットを一口頂いた。
うーん、最高。


「あんたのそういう図太いところ、ほんと拍手もんだわ。」

「こんぐらいの思考回路じゃないと生きていけないよ。」


いちいち下向いてたらやってられないよ、私の人生。



「でも、そうやって肩肘張って生きてるあんた見てたら思うのよね。
甘えられる相手が早く見つかればいいな、って。」


夏子姉さん…。


「うーん、見つかればいいんだけどね。」


どっかにいい人転がってないかな、なんて言ってられる年齢じゃないけど。


でもどうしてもそんな甘ったれたことを考えてしまう29歳 1月。
本当は、恋人のフリなんてやってる場合じゃないんだけどな。


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