神様、どうか。
車内には、さっきのコンビニのレジ袋。どうやら缶コーヒーを買ったらしい。
「社長、コンビニとか行くんですね。」
「ああ?割としょっちゅう行くぞ。晩ご飯も、コンビニ弁当が多いしな。」
「え?!ご自宅にシェフとかがいて、毎晩作ってくれるんじゃないんですか?」
「いない、そんなの。一人暮らしだしな。」
へえ、意外。坊ちゃんは、ご実家暮らしなのかと思ってた。
でも、社長も36歳だしな。当然か。
「君のところには、シェフがいるのか?
」
「いるわけないじゃないですか!」
何言ってんだこの人、と運転席を見るとクククッ、と肩を揺らして笑っている。
どうやら馬鹿にされていたらしい。
でも、なんだか楽しい。この前は、ほぼ喧嘩腰だったのに。
それに、社長って意外と庶民的なところがあるんだな。
親近感がちょっとだけ湧いた。