神様、どうか。

「さっきからずっと、赤信号のような気がするんだが。」


確かに。でも、これもよくあること。


「すみません。」

一応、謝っておく。
どうせ、貴方は馬鹿にするんだろうけど。
社長は何も返さず、ただ前を見て運転をしていた。


そんな話をしていると、見えてきた立派なホテル。


うわあ、私なんかは一生泊まることはないんだろうな。
本当に、来れただけでもツイてるかもしれない。


社長はホテルの駐車場にスマートに駐車した。
ここに停めてある車は全部高級車だ。
イタリア車のオンパレード。車会社の展示会みたいだ。


隣なんて、黒塗りのベンツだ。ドアを開けるのが怖い、ぶつけたらどうしよう。


そうやって怖気付いていると、いつの間にか車を降りた社長が、助手席まで回ってきてドアをまた開けてくれる。

なんか、女の人の扱い慣れてるな。


「あ、りがとうございます。」


開けてくれた社長を見上げると、明らかにオーダーメイドであろうブラックスーツを着こなした素敵な姿が目に映った。

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