神様、どうか。


心臓が口から出そうになるのを必死に抑え、社長の腕を取ったままホテルに到着。


外見が煌びやかなこのホテルは、中身もやっぱり煌びやかで。
ここにいる人が皆私とは違う殿上人に見えて居心地悪い。


でも、今度はいつこんなホテルに来れるか分からない。楽しもう。

それどころか、一生来れないかもしれないし。


そして、さすが一流ホテル。ちゃんとドアマンがいた。
自動ドアじゃなくて良かった。自動ドアって苦手だ。


だって、あんまり反応してくれないんだもん。会社に入るときも、なるべく人の後に着いて行くようにしてるし。



「行くぞ。」


受付を済ませた社長から声を掛けられ、現実に引き戻される。


そうだった、私は今から戦場に向かうんだった。
これからが本番だ。


頑張れ、幸子。生活のためだ。

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