神様、どうか。
「前にもさ、会社の上司の奥さんに浮気相手と勘違いされたことあったよね。」
「あった、あった。」
あれは、確か社会人2年目の冬。ちょうど、このくらいの時期のこと。
あまり思い出したくない思い出だ。
「幸子の前の部署の部長がさ、若い女の子と浮気してて、それがその奥さんにバレちゃったの。
それで、何をどうやって勘違いしたか分からないけど、奥さんは主任の浮気相手が幸子と思ったらしくて、会社に乗り込んで来た途端幸子の頰をバッチーンって。」
「え、打たれたの?」
太一君が目をまん丸にして信じられない様子。
そうだよね、そんな場面ドラマの世界だけのものだと私も思ってたもん。