神様、どうか。


「先に行っててくれ。車停めてくる。」


その言葉に、ハッとして外を見るとホテルの玄関口に車が付けてあるところだった。


雨が降ってるので、なるべく濡れないように近くまで送ってくれたんだ。

やっぱり、社長は意外と紳士だな。


私が車から降りると、雨足が強まる。
神様は、よく見てらっしゃる。


しばらくホテルのドアの前で社長を待っていたが、あまりにも雨足が強くなり取り敢えず中に入ることにした。


多分、私が中に入れば雨も少しは落ち着くはず。

が、ドアが反応しない。もう、自動ドアめ。


「あぁ、もう!開いてよ。」


「何やってるんだ。」

「…社長。」


ーーウィーン。

肩を濡らした社長がやって来た途端に、自動ドアが開いた。


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