神様、どうか。


「でも…。」

それでもエレベーターを使うのは、やっぱり躊躇してしまう。


ーーーチーン。


躊躇う気持ちが消えないままエレベーターが到着したそのとき、


「大丈夫だ。」

「あ、ちょっと!」


扉が開いた瞬間に社長は私の手を握りエレベーター内へと強引に引っ張った。


扉を閉め、68階のボタンを押すとエレベーターが上へと動き始まる。


突然のことで、状況が把握できない。

ただ分かることは、社長の大きくてゴツゴツした手が未だに私の手を包み込んでいるということ。


心臓が痛いくらいに高鳴っている。

このドキドキは、エレベーターに対する不安なのか、それとも。


ただ、繋がれた手が熱くて、熱くて。

気がつけば、68階まであっという間に到着していた。


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