神様、どうか。
社長に導かれるまま進むと、窓際の席に案内される。
あ、ご令嬢発見。
「東堂さん、すみません。お忙しいところ。」
すでに席に着いていたご令嬢の隣の男性が、私達が席に近づくとすぐに立ち上がり、社長に頭を下げる。
どうしていいか分からず、ドギマギしているとウェイターさんがすかさず椅子を引いてくれた。
座ってしまうと、当然社長の手は私から離れるわけで。
鼓動は落ち着いてくれたものの、なんだか寂しく感じる自分が恨めしい。
触れていた手と腰がまだ熱い。まるで心臓があるみたいにドクドクと血が流れていくのが分かる。
寂しいって、なに?私、ドキドキし過ぎておかしくなってる。
落ち着け、幸子。
今はそんなこと考えてる場合じゃないはずだ。