神様、どうか。


「間宮さん。わたくし、相川 秀雄と申します。」


そう言うと、私に名刺をくれた。


相川、秀雄…。
え?!中津ワイナリーの海外営業部?

てっきり大学でのお付き合いかと思ったけど、お父さんの会社の社員さんなんだ。


ということは、ご令嬢より年上かな?
まあ、私よりは年下だろうけど。


ご令嬢の方へそっと視線を移すと、むっすりとした顔で夜景を見ている。

まあ、この雨で夜景なんて1ミリも見えないけど。

ああ、見たかったな。


しばらく沈黙が続く。
どうしよう。胃が痛い、心臓も痛い。

もうここは私が沈黙を破るしかないのか、と思ったとき、


「先延ばしにするのも嫌ですし、最初にきちんと謝らせて下さい。」


相川さんが口を開いた。

< 88 / 284 >

この作品をシェア

pagetop