神様、どうか。


「さち、もういいよな?」

「あっ、はい。」


突然社長から名前を呼ばれ、ほとんど条件反射で返事をしてしまう。


「彼女も気にしてないし、二人とも顔を上げてくれ。」


社長の言葉に、二人はおずおずと顔を上げる。


「絢香さん、今回は君も親父たちの勝手な話に振り回された被害者だ。」


まあ、確かにそうだ。いきなりお見合いさせられて、その相手から恋人がいるからって断られて。


挙げ句の果てに自分の誕生日パーティーでその彼女紹介されて。


まあ、ワインをかけたくなる気持ちも分からなくはないかな。

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