神様、どうか。
私も絢香さんに、もう怒ってないって伝えなきゃ。
そう思って私が口を開きかけたとき、隣に座っている社長がすごく真剣な顔をしているのに気が付く。
そして、絢香さんを真っ直ぐ見て低い声を出した。
「だが今後、彼女にひどい態度をとることは俺が許さない。」
社長の横顔は、凛々しくて男らしくて。
ピアノの音も、他のお客さんの話し声も、絢香さんが息を飲む音全てが一瞬にして聞こえなくなる。
ただ、社長の男らしいその言葉だけが、私の胸の奥にスッと染み込んでいくのが分かった。