神様、どうか。
「東堂さんとは、どこで知り合われたんですか?」
相川さんは、ものすごく興味津々で私達の馴れ初めを聞いてくる。
そうですよね、こんな立派なお方とそこら辺に転がってそうな女の馴れ初め聞きたいよね。
私でも気になる。
「しゃっ、いた。」
「どうした?」
私が上げた変な顔に、隣の社長が心配そうな顔で覗き込むのを無視して相川さんの質問に答えた。
「…晃、さんとは、会社で。」
しれっと、どうした?とか優しく聞いてきてるけど、この人今蹴ったよ?
その高級そうな革靴、めちゃくちゃ硬くて痛いんだけど。
社長って呼ぼうとした私を止めるためっていうのは分かる。
でも、蹴ることはないんじゃない?
なんで、こんな人にドキドキなんてしてたんだろう。
雰囲気に流されるな、幸子。
しっかりしろ。