神様、どうか。


29歳にもなって情けないけど、これまでの私の人生において、男の人にあんなに大事にされたことってない。

ああ、ダメだ。悲しくなってきた。


今までの意地悪な発言や、食事中に足を蹴られたことなんか帳消しにしちゃってる自分が憎い。



「…はあ。」



「ーー間宮さん。」



自分の情けなさに大きな大きなため息をついたとき、私を呼ぶ声がした。


この声は…。



「絢香、さん。」


恐る恐る振り返ると、そこには凛とした立ち姿の絢香さんがいた。


え?!なんでここに?


私が化粧室に居るっていうのは、分かっていたはず。


もしかして、私に話があって来た?

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