あなたのために花を吐く
 
「ゲホッ、ゲホッ」

「ちょ、佑香?!」




 花吐き病になった日のことを思い出していたら急に吐き気がしてきた。

 トイレに行って吐いていたら後ろから美咲が入ってきて私の背中をさすってくれた。




「これは、わすれなぐさ?」




 わすれなぐさの花言葉は名前のまま、『私を忘れないで』。




「やっぱり保健室の先生には話しておいたほうがいいよ。いつ吐くか分からないし…」

「そうだね」




 この学校に保健室は2つある。


 サボり魔が多いことから数年前にもう1つ作ったらしい。


 隣同士ではないことが唯一の救いだけど、龍斗もあんまり体が強くないから保健室を使う回数が多い。


 私が休んでいる時に来られたら余計に吐いてしまう。
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