あなたのために花を吐く

「美咲」

「ん?」

「見られちゃった」

「え?」

「龍斗に」

「吐いてるとこ?」

「いや、吐いた後」

「そっか」

「それでさ、キツく言い過ぎちゃったんだよね」

「うん」

「あとね、手術のこと少し考えようと思う」

「えっ!」





 このまま記憶を残していても龍斗に強く当たって最後は花を吐く。


 だったらいっそのこと忘れたい。


 それに美咲は記憶を無くしても傍にいてくれるって信じてるから。


 でもまだ決心したわけじゃない。


 もう少し。


 もう少しだけ時間をください。


 優柔不断な自分は嫌いだから。
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