あなたのために花を吐く

「で、今回はなんのようだ?」

「佑香のことなんだけどね。担当医の先生から記憶消去の手術を勧められてるの」

「記憶消去?」

「このまま両想いにならなかったら佑香はずっと花を吐き続ける。もし吐いた花が器官にいってしまったら?喉に詰まって呼吸困難になったら?佑香は死ぬかもしれない。だったらその記憶を無くして楽にさせてあげればいい。そう言われたの」

「佑香は?手術受けるって言ってるのか?」

「言われた時は受けないって言ってた。でも最近考え直してるって」

「そ、そっか」

「木崎くんはこのままでいいの?」

「え?」

「私、聞いちゃったんだよね。好きなんでしょ?佑香の事」

「っ?!」

「でも好きとかそういう感情の前に2人は幼なじみじゃん?支えてあげたら?」

「けど佑香は俺を拒否して…」

「そんなんで諦めるの?佑香を想う気持ちはその程度なの?」

「っ…。やれることはやってみる」

「うん」

「ありがとな。一宮」




 これで付き合えるといいんだけどね…。


 頑張れ。


 2人とも。
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