あなたのために花を吐く
「ねぇ、佑香」
「どうした?真剣な顔して」
「佑香が目を覚ます前に医者から記憶消去の手術と地方に引っ越すことを進められたの」
「え?」
「花吐き病は両想いにならないと治らないでしょ?でも記憶が無くなれば治る可能性が高いんだって。辛い話かもしれないけど、今後またこんなことがあったとして誰にも見つけてもらえなかったら死んじゃうかもしれない」
「………」
「すぐに決断しろとは言わないし、無理矢理記憶消去をさせることもしたくない」
「ありがとう。考えてみるよ」
「うん」
記憶消去か。
記憶を無くしたら花吐き病は治るかもしれない。
でも龍斗との思い出、美咲との思い出を失いたくはない。
どうすればいいんだろう。