Suiteカルテット
4人の出会い

初!電車通学 美羽

−キュッ

少し気合いをいれて、強めに2つ結びをした。

私は、−瀬戸美羽 せとみう−

今日から高校生です!

中学生が抜けない、お子様な2つ結び。

リップクリームだけ塗ってコロンを少しつけた。

私には、充分すぎるほどのオシャレだった。

小さな子供が、遠足を待つような気分で、鞄の中を整えて、何度も鏡をチェックした。

下からお母さんの声が聞こえると共に勢いよく階段を下りた。

朝食を食べ、落ち着かない気持ちのまま、私は玄関に向かった。

「お母さん!行ってくるから。また後でね。」

「道、間違えないようにね。」

お母さんの言葉を聞かないまま、私は飛び出していた。
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