Suiteカルテット
「許婚、解消しようと思う。」

えっ…

「俺等も、前は子供だったけど、もう大人だし。
俺がこっちに戻って来るとなると、お互い許婚って立場だと大変だろ。」

それは、そうだよね。

隆也は私の事、友達としか思ってないんだもん。

「うん!そうだよね。解消しなきゃ。」

私は笑顔でそう言った。

嘘でも、親が決めた事でも、私は許婚の立場でいたかった。

涙が出そうになったけど、絶対流しちゃいけないって分かってる。

「じゃあ、美羽待たせてるから行くね!」

明るい声で、そう言い、部屋を出た。
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