Suiteカルテット
「この街にも、七晴高校の人いたんだ〜。」

女の子は、少しビクッとして顔を上げた。

化粧も何もしてない、目がまるく、唇はピンクで潤んでいた。

でも、その目からは涙が少し零れていた。

俺は、一生懸命声をかけて、怪我の手当てをした。

ほっとけなかった。

目の前で泣いてる子がいて、正直戸惑った。

でも、その子はすぐ笑った。

「準備いいね!」

その笑顔に、いつもと違う気持ちを覚えた。

これが何の気持ちかは、分かってなかったけど。

「同じ高校なんだね。」

俺が言った。

「私、実はね、電車間違えちゃったの。」

恥ずかしそうにいう顔がかわいかった。

「笑わないの?」

その子は迷いつつ聞いてきた。

「こらえてる!」

「ヒドッ!!!」

「冗談だって〜。」

2人で、高校行きの電車に乗った。

窓からは海が見え、隣に座ったその子のコロンの香りが、薄く甘く匂い、なぜか緊張した。

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