甘々王子と黒王子
私は一瞬でるーちゃんに教えてもらった劇のとりこになった。

るーちゃんの話を簡単にまとめる。

そのままだと聞きにくいからね。





あるところに二人の少女がいた。

二人は姉妹だったが、育った環境が全く違った。

姉である紗良は蝶よ花よと大切に育てられたが、妹の悠里は母親に虐待をうけていた。

紗良は本妻の子だったが、悠里は父親の愛人の子だったためだ。

しかし二人が15になった時、悠里の母親が死んだため、父親に引き取られることになる。

そこで紗良は悠里と仲良くしようとするが、悠里は本妻や紗良がいたから自分が虐げられていたのだと心を開けない。

そして次第に自分などはいらない人間だと考えはじめてしまう。

けれど紗良は悠里に拒絶されながらも歩み寄ろうと努力をし、最後には悠里が紗良に心を開く。

というような話だ。

「よくある話だけどね〜」

「そんなことないって」

本当に面白かったよ。

そう言うとるーちゃんは照れながらも

「ありがと〜」

と返してくれた。

「それでね〜
恵には紗良の方を演って欲しいんだ〜
悠里は〜私が演るから〜」

「分かった!
でもさ、さっき三人って言ってたけどいいの?」

「う〜ん
別のいろんな人達の役だからいざとなったら音をだすだけでいいんだけどね〜」

それだとちょっとね〜

るーちゃんは不満そうだ。

意外と完璧主義だったりするのかな?

「けどアテがないよ」

「でもいるような気がするんだよね〜
おだてたりすればすぐやってくれるような人〜」

おだてたりすれば…か。

そうだッ!

「るーちゃん
一人思い付く人がいるんだけど…」

「私も〜」

「せーので言ってみる?」

「うん」

「せーの」

「「委員長!!」」

やっぱるーちゃんも同じこと考えてたんだ。

でも真面目に委員長ほど使いやす…じゃない、いい人いないと思う。

「早速頼みに行こっか」

「うん」

というわけで委員長の席へ

レッツゴー

「委員長〜
頼みがあるんだけど〜」

「何?」

「学園祭で私達劇やろうと思ってるんだけど、委員長も手伝ってくれない?」

顔の前で手を合わせてお願いのポーズをとる。

「何で私が……?」

「お願〜い
委員長しかいないんだよ〜」

「しょうがないわね。
やってあげるわよ」

「ありがと〜すごいよ委員長〜」

うん本当にすごい、

すごい簡単だった。





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