甘々王子と黒王子
だけど、恐怖でうつむく私にかけられたのは、全く予想外の言葉だった。

「恵ちゃんの誕生日、明日なんだよね。

だったら今日、一緒に見に行かない?」

は?

え?

「明日じゃなかった?」

心配そうに私を覗きこむ先輩。

あってることはあってる。

でもさ

今の話だと私の誕生日プレゼントを一緒に選んでくれるっていうことでしょ?

昨日は邪魔だとかなんとか言ってたのにこの変わり身は何?

別にプレゼントを選んでくれるとかそういうのは嬉しい。

だけど、

私にプレゼントをくれる理由は無いよね。

それともまた私、妄想中ですか?

夢ですか?

それとも、昨日のが夢?

「えっと…な、何でですか?」

私がしどろもどろになりながら聞くと、

先輩は照れたように顔を少し赤くして言った。

「つ、付き合ってるから、ね」

これは夢でしょうか?

現実?

ナイナイナイナイ

私はスカートの上からももの辺りをつねってみる。

痛い。

これはもう

開き直るしかない!

夢だろうが現実だろうが妄想だろうがここじゃ先輩と『恋人同士』なんだから、先輩と恋人やっちゃいましょう!

誕プレもらっちゃいましょう!

「じゃあ今日の放課後にいいですか?」

「うん、じゃあまた後でね」

先輩の笑顔

眩しいです。

放課後楽しみだな。

どうかそれまでに夢が覚めませんように。

現実なら……

あり得ないか……
< 7 / 98 >

この作品をシェア

pagetop