甘々王子と黒王子
「どんなのがいい?」

おっと

別の世界へ行っていましたよ。

危ない危ない

夢が覚めるとこだった。

「これなんてどう?」

笑顔で聞いてくる先輩。

現実の彼氏ならいいのに……

これが現実なんてあるわけないけど。

乙女の夢ってやつですよ。

「恵ちゃん?
さっきからどうしたの?
上の空みたいだけど」

「え、あ……」

「少し疲れた?」

私は慌てて頷く。

というか首をブンブンふる。

おかしな勘違いはされたくないもん。

「それじゃああそこに入る?」

先輩が指差したのはすぐそこにあるカフェテリア。

私はまたまた首を縦にブンブンふった。

そしたら先輩にクスクス笑われた。

嫌味な笑いではなかったけどね。

逆に爽やかなくらいだったけど。

それでも少しフクザツな気分。

女のコだもん。

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