嫉妬深い狼と結婚生活⁈






「タチの悪い不良だったよ、あの人は。」






女癖も悪くて
いつも取っ替え引っ替えで


女絡みの問題もたくさんあったし。






固まる私を気にせず

どんどんそんな話を続ける先輩達。







「大会控えた選手だろうが他校だろうが
関係なく腹立ったらボコボコだもんな。」





お前の憧れの選手も
確か被害者だったよな?



とサークル長が
逢沢先輩に尋ねる。




…え…憧れの選手って…






(高校で引退してしまったっていう
空手の選手の…?)








「…あぁ。
足に怪我負わされて…棄権した。」







そう言って逢沢先輩は

少し下に視線を向けながら
グッ…と拳を作って、力を込めていた。






「それが1番大事だったよな。
濱崎もそれで停学処分受けてたし。」






とサークル長が続けて言う。





…そんな…圭斗が…?





(確かに怒った時は怖いし
見た目も厳ついけど…まさか…。)






本当に

悪い不良だったの?






と未だに信じられない私。




ちょうどそんな時に

授業開始の鐘が鳴る。







「…座ろう、ユカリちゃん。」







そう言って逢沢先輩は
私を連れて、近くの机に座った。



先輩の横顔を見れば


複雑そうに
でもどこか悔しそうな表情を浮かべて


視線を下げていた。







(…圭斗…。)






もしかして"空手"って言葉に
反応してた理由って…



これが原因…なの…?







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