嫉妬深い狼と結婚生活⁈
自分の中のザワザワする
胸騒ぎの原因はこれか、と
内心納得しながら
その彼に視線を向ける。
「ユカリの見送り どうもありがとう。」
「……好きでやったことですから。」
「だろうね。」
ピリピリとした雰囲気の俺たちに
ユカリが気まずそうに目を逸らしながら
俺のシャツの袖を引っ張る。
「も、もう帰ろう?ね?
逢沢先輩も…ありがとうございました。」
「あぁ、またねユカリちゃん。」
「………。」
苦笑いをしながら
逢沢という男に一礼をしてから
ユカリは車の中に入る。
俺もその子にもう1度視線を寄越してから
運転席に入った。
そしてそのまま
車を走らせる。
「………。」
「………。」
お互い沈黙のまま
車内を過ごす。
俺の予想が当たっていれば
ユカリはやっぱり
あの男から何か話を聞いたんだろう。
帰りから
気まずそうに視線を逸らしたままだ。
(それとも……怖いのか、俺が。)
そんなことを考えながら
俺はちょうど信号が変わった道路で
車を止める。
……どうしても過去は変えられないのは分かっているから
今更どうこう後悔しても意味がないのもわかってる。だからしない。
でも
…やっぱり拒絶されたようで
少し寂しかった。