嫉妬深い狼と結婚生活⁈
「-----着いた。」
少し車を走らせて
我が家に帰ってきた。
先に俺が車を出れば
後から無言でユカリも降りてくる。
…何の会話もないまま、家のエレベーターに乗った。
(……どうすればいい。)
何か聞いていたとして、
まだ混乱しているかもしれないし
必要以上に何か言わない方がいいのか。
それとも
いつも通りに過ごして
近づいて良いのだろうか。
───わからない。
「……圭斗。」
「!」
家に着いて
俺がガチャッと鍵を開けた時に
背後にいたユカリが
俺の名前を呼んだ。
俺は黙って振り返って
ユカリと目を合わせた。
「…昔のこと聞いちゃったの。」
「……そう。」
--------やっぱりな。
そう思いながら
少し伏し目がちに
ユカリを見る。
何を言われても仕方がないと
心で受け止める準備をしていたら
ユカリが右手を伸ばして
-----ギュッ
と
俺の服の裾を遠慮がちに掴んで
少し下を向いた。
「……怖いなら、無理しなくていい。」
「…え……?」
「…ユカリがしばらく距離置きたいなら
俺はそれでも……大丈夫だから。」
俺が静かにそう言うと
ユカリは下を向いていた顔を上げて
目を見開いて俺の顔を見る。
そして── 瞳を揺らしながら
俺の裾を掴む手の力を強めた。
「っ…そんなことしない!」
「!!」
力強いユカリの声が 耳を通って
俺は面を食らったように
目を丸くして
ユカリを見下ろす。
「……確かに驚いたし、混乱もしてる。
でも……だからって圭斗への気持ちは
絶対に変わらないよ。」
それだけは誤解しないで…!
そう力強く訴えかけてくるユカリを見て
俺は鼓動が
ドクッ…と鳴ったのを感じた。