嫉妬深い狼と結婚生活⁈
まだ付き合う前
映画デートに行った帰りに
俺が連れて行った場所にいた店員。
『ユカリちゃんね。どうぞよろしく。』
『へぇ〜、今高校2年生なんだ。
1番楽しい時期じゃん。どう?学校。』
初対面だったのにも関わらず
少し距離の近いあの店員。
あれがそのコウキ。
「嘘……全然知らなかった…。」
「聞いてなかったんだ?
…まぁそういうわけだから、今は全然仲良いよ。」
もう4年も前の話だしな、言っても。
そう言いながら
ユカリを見てみれば
まだ驚いているのか
目を丸くしたままボーッとしていた。
…まぁ、混乱しても仕方ないか。
「じゃあ俺、先に風呂入ってくるから
ユカリはゆっくり頭整理してな。」
「あ…うん。ありがとう。」
そう言って
俺はユカリの側から離れて
脱衣所へ行く。
そして服を脱いで風呂場に入り
そこで思い切りシャワーを浴びた。
(…にしてもあの逢沢って奴……
ユカリに俺の昔の話吹き込んだってことは)
俺がユカリの結婚相手だって
もう知っているってことだよな。
それで
ユカリにあの話をすることで
大方俺から離れさせようとでも思った、か。
───俺への復讐か?
(ったく……コウキの奴も
とんだ後輩作ったもんだな…。)
賞も何度も取って
空手界では優秀だったコウキに
憧れを持った選手は多いだろう。
…俺からすればとんだとばっちりだな。
自業自得でもあるけど。
「……これからどうするかねェ…。」
俺は湯船に浸かりながら
髪をかきあげて
1人そう呟く。
これからもあの後輩くんは
きっとユカリに何かと絡んでくるはず。
しかもあの関西弁の友達(秦山くん)が
あの男の後輩なら尚更-----
(……行ってみるか。)
───あいつ連れて、ユカリの大学に。