嫉妬深い狼と結婚生活⁈
「やっべー懐かしいー!
俺最初そのままここ行くつもりだったんだぜ?」
「そんなん俺だってそうだよ。」
そりゃ俺らエスカレーターで行けたんだからよ、と
隣の男に話しながら
俺は今、ユカリの通うこの大学へ来ている。
隣の男というのは───もちろん
「コウキ、お前"逢沢"って奴知ってる?」
───コウキだ。
コウキは俺の言った名前を聞いて
少し考えながら
えーっと、と声を漏らす。
「その逢沢って、逢沢真樹って奴?」
「多分それ。空手部の後輩。」
俺がそう言うと、コウキは
「あー知ってる知ってる。」と頷いた。
2個下ではあるけど
やはり部活の後輩となると、覚えているものらしい。
「あいつがどうかした?」
「んー、まぁ何か ユカリにちょっかい出してるみたいなんだよ。」
「え、マジで?」
「俺とお前のこともユカリに話したみたいだしな。」
俺がそう言うと
コウキは「それヤバくねぇの?」と
少し心配そうな顔をして 俺に尋ねる。
まぁ……正直ヒヤヒヤはしたな。
「おかげでその日はお互い黙ったまま家帰るはめになった。」
「うっわ、かわいそ。」
コウキは俺にそう言いながら
気の毒そうな顔を向けてきて
俺はコウキの頭に
軽くチョップをかました。
「いってェ!」
「お前の喧嘩盛りに巻き込まれた
俺へのお詫びだ、お詫び。」
「喧嘩盛りって…
そんなこと言ったらお前だってそうだったろーが。」
「別に俺はあれが普通だったけど。」
「うっわ、それでアレとか超怖ェ。」
生きる兵器かよ、と
ブツブツ言いながら歩くコウキを
軽くスルーして
俺は 目的である
『逢沢』を探して
大学内を歩き回る。
そしてそのうち
主に授業が行われている建物に
到着した。