嫉妬深い狼と結婚生活⁈
「それで?
俺をここに連れてきて、何するわけ?」
建物の中に入っていった俺たちは
そのまま、階段を上っていく。
その途中で コウキが俺にそう尋ねた。
俺はその言葉に
当然といった態度で コウキに返す。
「そりゃ勿論、お前にちゃんとしたお詫びしてもらうためだろ。」
「はぁ?今俺のこと殴ったじゃん。」
それが詫びじゃねぇの?と
意味がわからないと言いたげな顔で
俺を見るコウキ。
まさか。
そんなチョップ1つでお詫びになるとでも?
「夫婦の危機のお詫びを
んなもんで済ませるわけねぇだろうが。」
「いやでも半分はお前も悪いだろ!!」
つか元はと言えばお前の黒歴史のせいだろ!と
何かわけの分からんことを言っているコウキを無視して
俺はそのまま階段を上っていく。
(……偶然、はやっぱ無理か…?)
周りを見渡しながら
俺はいる様子のない『そいつ』を探して
そう思った。
……こんな広いキャンパスで
偶然逢沢本人に会うなんて無謀だったか…?
「おいコウキ。」
「?」
「お前逢沢の連絡先知らねぇの?」
俺がふとコウキにそう尋ねれば
コウキは頭をかきながら
うーん…と唸る。
「…持ってたっけなぁ……。
人伝てに聞けばわかるかもしんねぇけど、何で?」
「いや、連絡してもらおうと思って。」
「……え、何。お前まさかボコるつもり?」
コウキは俺の答えに
わざとらしく怯えた表情を向けてきて
俺はそんなコウキに
「アホか。」とすぐに返した。
こんな目立つところで年下ボコるわけねぇだろ。
「誤解解くんだよ。お前が。」
「……は?俺が?」
「そうだよ。あいつ相当お前のファンだったみてぇだからな。」
まぁ、そのせいで恨まれてんだけど。
「全てはお前がふっかけてきた自業自得だって説明しろ。それが詫びな。」
「はぁ?何それすげぇめんどく---」
「拒否権なし。」
「………ウィッス…。」