嫉妬深い狼と結婚生活⁈
「逢沢先輩って…?」
私が席についてから2人に質問すれば
2人はまた感心したような顔をして
私に話す。
「逢沢先輩は、昨日の新歓の時
持ち帰りされそうになった女の子を助けたヒーローだよ。」
「ヒーロー?」
「そーそー。
槙田先輩が女の子を連れて帰ろうとしたのを、男らしく止めたんやで。
あとちなみに、空手部の先輩。」
と言って
昨日のことを思い出すように、あの人やっぱいい人だわぁ、と感動している2人。
空手部の先輩ってことは…
ハタの知り合いの人ってことかぁ。
…ちゃんとしっかりした人がいたんだ…。
良かったなぁと思いながら
胸を撫で下ろす。
さっちゃんにはハタがついてたから心配なかったけど
それでも危なかったっていうから
あの人がいて本当に良かったなぁ…。
と私は前の方に座る
さっきの先輩を見て思う。
「でも、さっきの瞬間
濱崎さんいなくて良かったな。」
「?どうして?」
ふとハタが私に言う。
そして苦笑いをしながら
「濱崎さんめっさ怖いやん。
…槙田先輩もどーなってたかわかったもんじゃあらへん。」
と言うハタ。
確かに怒ったら圭斗は怖いよなぁ…
と、昔 圭斗が怒った時のことを思い出す。
あの時圭斗の殺気すごかったな…
と思い出しながらゾッとする。
滅多に怒らない彼だから
その1度きりしか本当に怒ったのを見たことはなかったけど…。
私はハタに ははは…と苦笑いで返す。
「でもあの人、どっか少し濱崎さんに似てるよね。」
「んー、そうかな?」
「うん。無愛想かと思ったらいい人な感じとか。」
と言って笑うさっちゃん。
あ〜…まぁそう言われてみれば似てるような…
(……あ、圭斗だ。)
そう考えている時
携帯に着信が来て、圭斗からのメールだと確認する。
「噂をすれば濱崎さん?何だって?」
「えっとね…
今日迎えに行く、って。」
「さっすが愛されてますなぁ、奥サン?」
そう言ってケラケラからかうように笑うハタに
私は顔を赤くしながら、やめてよ!と軽く叩く。