【完】恋が終わる前に。
わたしなんかが適うわけないんだよ。
モデルみたいに可愛くて、フレンドリーな彼女。
わたしは、はるくんに名前を呼んでもらったこともなければ、あんな風に優しく笑いかけてもらったこともない。
最初から勝敗の決まってる勝負に挑もうとは思わない。
こんなふうに呼び出しなんてしなくても、わたしはもうはるくんのことを忘れなければいけない人なのだから。
「日向くんのことはもう好きじゃないから」
——またわたしは嘘をつく。
「……嘘つき」
文化祭の時のようにドンッと肩を押される。
でももう、階段はないから転けることはない。
だけど体は後ろに倒れそうになって
「何やってんの?」
その体を支えてくれたのは青山くんだった。