【完】恋が終わる前に。
「待てよ、天——…」
わたしの腰に回った、はるくんの腕と
聞こえてきたはるくんの声。
「天、逃げんな…」
かつてないほど、近くで聞こえるはるくんの声にわたしは倒れてしまいそうだ。
「……天」
耳元で聞こえる、わたしの名前を呼ぶ声。
大好きなはるくんが呼ぶ、わたしの名前。
ずっと、ずっと呼んで欲しかった。
「は、る…くん」
「なぁ、青山は?さっきの何?」
「う…、あ、の…」
昼休みもあと少しで終わるためか、廊下にあまり人はいなくて、逆にそれが恥ずかしかった。
2人っきりの空間が。