【完】恋が終わる前に。
「っ」
「そろそろ自覚してよ。
俺に好かれてるっていう自覚」
どんどん近づくはるくんのきれいな顔。
それに比例するようにわたしの顔は赤くなってるだろう。
自覚してなんて、簡単に言わないでよ。
好きだから不安になるんだよ。
好きだから怖くなるんだよ。
「じゃあ…自覚できるようなことしてください」
言った後に激しく後悔した。
「いいよ、自覚させてやる……」
そう言ったはるくんの声は、今までに聞いたことがないくらい甘いものだった。
「天、好き……」
はるくんの優しいつぶやきとともに、重なったはるくんの唇とわたしのそれ。
「天」
何度も角度を変えて落とされる唇にわたしはもう、何も考えられなくなった。
自覚がどうとか、わたしの顔が赤いとか、そんなこと考えられなくて、ただ、はるくんのことが好きだってことしか考えられない。