【完】恋が終わる前に。


「いいよ。いってらっしゃい」


「やった。ありがと……」


「そ、天ちゃん⁉」


はるくんのところに行きたいのに、


はるくんの隣にいられる時間が残りすくないのに、



なんでわたしの意識はもってくれないんだろう。


突然真っ暗になった視界。


そこで、途切れた意識―――…


青山くんの声と友梨香の声だけが聞こえた気がした。








真っ暗な世界で夢を見た気がする。


はるくんが優しく笑ってくれて、呼んでくれなかった名前を呼んでくれて



「……好きだ」


欲しかった言葉を言ってくれた夢。



返事をしたいのに、はるくんは悲しそうに顔を歪めた。


だからわたしは何も言わなかった。


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