【完】恋が終わる前に。
「いいよ。いってらっしゃい」
「やった。ありがと……」
「そ、天ちゃん⁉」
はるくんのところに行きたいのに、
はるくんの隣にいられる時間が残りすくないのに、
なんでわたしの意識はもってくれないんだろう。
突然真っ暗になった視界。
そこで、途切れた意識―――…
青山くんの声と友梨香の声だけが聞こえた気がした。
*
真っ暗な世界で夢を見た気がする。
はるくんが優しく笑ってくれて、呼んでくれなかった名前を呼んでくれて
「……好きだ」
欲しかった言葉を言ってくれた夢。
返事をしたいのに、はるくんは悲しそうに顔を歪めた。
だからわたしは何も言わなかった。