【完】恋が終わる前に。
「……あんたが一番勝ちたかったんじゃねーの?」
誰かも知らない他校の男の子の言葉は、わたしの心に響いた。
全部、全部当たってたから。
勝ちたくて、でも思い通りに打てなくて
負けたくなくて、でもミスを連続して
怖かった。何かを言われることが。
だから全部自分が悪いって言って逃げた。
「逃げんな。向き合え」
「うんっ」
「晴、何やってんの~?次の試合の応援行くよ」
「分かった。
じゃあな。お疲れさま」
名前も知らない男の子。
綺麗な顔で、小さく笑った。
男の子を呼んだのは、モデルみたいな可愛い女の子。