【完】恋が終わる前に。



「は…日向くんっ」


教室を出て行ったはるくんを呼び止める。


『はるくん』

とは呼べなかった。


呼ばなかったんじゃない、呼べなかった。



「……なに?」


「明日の見回りはわたし1人で大丈夫です。
日向くんは、クラスの方に行ってください」


「分かった」


最低なわたしは思うんだ。


『俺もやる』


はるくんがそう言ってくれればいいのにって。


言うわけないのにね。


はるくんと過ごす時間が欲しかった。


もっと一緒にいたかった。


でも、それを願っちゃダメなんだ。


「じゃあ、ね」


早く、早くはるくんの前から


零れ落ちてしまう前にいなくならなければ。




< 99 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop