【完】恋が終わる前に。
「は…日向くんっ」
教室を出て行ったはるくんを呼び止める。
『はるくん』
とは呼べなかった。
呼ばなかったんじゃない、呼べなかった。
「……なに?」
「明日の見回りはわたし1人で大丈夫です。
日向くんは、クラスの方に行ってください」
「分かった」
最低なわたしは思うんだ。
『俺もやる』
はるくんがそう言ってくれればいいのにって。
言うわけないのにね。
はるくんと過ごす時間が欲しかった。
もっと一緒にいたかった。
でも、それを願っちゃダメなんだ。
「じゃあ、ね」
早く、早くはるくんの前から
零れ落ちてしまう前にいなくならなければ。