いちごキャンディ



「ほんとに…違、くて…っ」

「…ねぇねぇ、口、あーんってして?」

既に私は涙声になっているのだろう、感のいい先輩の事だ、きっと気づいているのだろう…だけど、先輩はそれに触れる事無く、穏やかな声で私に話しかけてくれた。

涙を必死に拭い顔を上げると、そこにはいつもと同じ優しい笑顔で笑う先輩がいた。

「え…と…“あーん”ですか?」

「そうだよ、はい、あーん」

(なんで!?)

色々と疑問に思いつつも、目を閉じて小さく口をあける。

< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop