いちごキャンディ
「ほんとに…違、くて…っ」
「…ねぇねぇ、口、あーんってして?」
既に私は涙声になっているのだろう、感のいい先輩の事だ、きっと気づいているのだろう…だけど、先輩はそれに触れる事無く、穏やかな声で私に話しかけてくれた。
涙を必死に拭い顔を上げると、そこにはいつもと同じ優しい笑顔で笑う先輩がいた。
「え…と…“あーん”ですか?」
「そうだよ、はい、あーん」
(なんで!?)
色々と疑問に思いつつも、目を閉じて小さく口をあける。