【⑤おまけ】オオカミさんの新婚事情 上司とイキナリ結婚したら。
「それにね、これ」

 ハヤト君は、照れくさそうに左手の薬指に嵌められた、金色の指輪を見せてくれた。

「ウワ~、ハヤト君、結婚してたんだ」

「スゲエだろ?10歳も歳上の、子持ちの人」


「ええっ‼……あ、ゴメン」

「いいんだ。慣れてるから。…会社、倒産して不貞腐れてた時に、助けてくれた人。
 …オマエにはああ言ったけどさ。俺には…要領よく遊ぶなんて無理みたい」

「ハヤトくん…」

「オマエとは縁がなかったけど。
 結婚ってさ、色んなカタチがあるんじゃないかな?なーんて」

 涙腺が…緩くなる。

 目の前がゆらゆら揺れて、視界が定かでなくなった。

「だから元気だせよ!
 大体、オマエのいい所は、何にも考えてない所だろ!」


「うん…グスッ。 
 ありがとう。そうだね、そうだったよね…ハヤトくん!」

「トーコ!」


 ひしと、抱き合う。


「アハハ、なんだその癖、まだ直ってないのかよ………あ、やべ」

「?」



「……何を…している」


 私の背後に佇んでいたのは、抱き合う私達を冷ややかに見下ろすオオカミさんーーー

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