【⑤おまけ】オオカミさんの新婚事情 上司とイキナリ結婚したら。
第3話 来訪者
朝7時、玄関前。
彼はいつも、この時間には家を出る。
「じゃあ、行ってくるから」
「ん」
ちうっ。
彼は、爪先立ちの私の唇に軽くに触れるキスをした。
寂しがりの私は玄関先まで一緒に出、彼をお見送りしていたのだが、いつしかそれが、このちょっぴり恥ずかしい習慣と変わっていた。
ヒラヒラと彼の背中に手を振っていと、彼が一度振り返った。
「?」
忘れ物かな?とは思いつつ…
『どうしたんダイ?
寂しそうな顔をして…よし、今日は1日一緒に居てあげやう』
なーんていう言葉を期待してしまう自分がいる。
と、彼の視線がさりげなく私の上から下までをなぞった。
なんだ…服装チェックしてるのか。
「よし」
ガックリきている私をよそに安心したように頷くと、彼は再び踵を返した。
マンションの、鉄の扉がバタンと閉じる。
彼が行ってしまった後の、しんと静まり返った家が、今の私にはとても寂しい……
考えてみると、これまでの私には、一人になった時間など、殆んどなかった。
この時間にはもう、課の皆と一緒にいて、和気藹々と喋っていたは、オオカミさんに怒られて…
そうだ、オオカミさんと一緒にいた時間って、随分と長かったのだ。
下手をすれば、今よりずっと。
「………ぐすっ」
い、いけないっ。
私は慌てて、目頭に滲んだ涙を拭いた。
私ってば何を考えてるの?
もしかしてこれって、『マリッジブルー』ってやつかしらん?
私ってば、意外に繊細。
彼はいつも、この時間には家を出る。
「じゃあ、行ってくるから」
「ん」
ちうっ。
彼は、爪先立ちの私の唇に軽くに触れるキスをした。
寂しがりの私は玄関先まで一緒に出、彼をお見送りしていたのだが、いつしかそれが、このちょっぴり恥ずかしい習慣と変わっていた。
ヒラヒラと彼の背中に手を振っていと、彼が一度振り返った。
「?」
忘れ物かな?とは思いつつ…
『どうしたんダイ?
寂しそうな顔をして…よし、今日は1日一緒に居てあげやう』
なーんていう言葉を期待してしまう自分がいる。
と、彼の視線がさりげなく私の上から下までをなぞった。
なんだ…服装チェックしてるのか。
「よし」
ガックリきている私をよそに安心したように頷くと、彼は再び踵を返した。
マンションの、鉄の扉がバタンと閉じる。
彼が行ってしまった後の、しんと静まり返った家が、今の私にはとても寂しい……
考えてみると、これまでの私には、一人になった時間など、殆んどなかった。
この時間にはもう、課の皆と一緒にいて、和気藹々と喋っていたは、オオカミさんに怒られて…
そうだ、オオカミさんと一緒にいた時間って、随分と長かったのだ。
下手をすれば、今よりずっと。
「………ぐすっ」
い、いけないっ。
私は慌てて、目頭に滲んだ涙を拭いた。
私ってば何を考えてるの?
もしかしてこれって、『マリッジブルー』ってやつかしらん?
私ってば、意外に繊細。