免罪符
少年の苦悩
静寂に満ちた部屋で少年は目を覚ました。
浅い眠りだったのか少年の目は疲れきっているように見える。
ベッドから起き上がり湯を沸かし熱いコーヒーを入れた。
疲れきった体に鞭をふるいコーヒーを一口含みそのまま仕事スペースのパソコンの前に腰を下ろす。
ワードを起動し何やら打ち込み始めた。
時刻は早朝の4時半、薄暗い部屋の中には少年のタイピング音だけが響く。
どうやら彼は小説を書いているようだ。
物凄い勢いで文字の山を築き上げていく。
そう、彼は学生兼小説家だ。
普段は大学に通いながら小説を書いて生活している。
某出版社の新人発掘コンペで最優秀新人賞を授賞し高校2年のときに小説家デビューを果たし今では連載5本、書籍化8本の売れっ子覆面作家として活動している。
少年が書いているのは犯罪小説でそのリアルな犯罪描写と繊細な文章で人気を博している。だが読者の中には彼が本当に犯罪をおかしているのではないかと言う者もいる。
それだけ彼の小説には人を魅了する力も、恐怖を与えることのできる力を持っていた。
彼がなぜこのような小説を書くことができるのか、その答えは彼の私生活にあるのだろうか知る者はごく限られた人物のみだ。

小説を書き始めて一時間半、彼の指が止まった。一段落したのか机の引き出しからタバコとライターを取り出す。
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