ウサギとカメの物語 番外編
*親友の一大事*
そして、現状はどうなっているかと申しますと。
出会って8年6ヶ月、
友達期間約4年、
片想い期間約3年、
恋人期間1年10ヶ月(現在進行形)、
同棲期間10ヶ月(現在進行形)、
見事に、それはそれはものの見事に。
マンネリ化中。
「奈々〜、そこのクッション取って〜」
新入社員時代は着せられてる感満載だったはずのスーツを、今はビシッとスーツを着こなしている順。
ただしそれは会社の中だけのこと。
もはや熟年夫婦のような空気感の中で、彼は部屋着でもあるスウェットの上からボリボリお尻をかきながら私に手を伸ばしてくる。
「い、や、よ。どうせ寝転がるんでしょ?ちょっとは洗い物とか手伝ってよね」
今年の初めから同棲を始めて9ヶ月。
彼はほとんど家事には協力することなく、リビングでは基本このようにソファーにグダグダ横になったり、クッションを枕にしてゴロゴロしたりする。
同棲してから3ヶ月はまともに家事も分担していたはずなのに。どうなってるの、これは。
私の小言も止まらない。
「そうだ、昨日またシャツのポケットにメモ用紙入れたまま洗濯機に放り込んだでしょ?あれ本当に止めてほしいんだけど。私のお気に入りの服にカスがついて……」
「分かった分かった、ごめんってば〜」
あはは、とのんびり笑う順。
えぇ、癒されますよあなたの笑顔。
優しさ100%、その笑顔で営業マン頑張ってますものね。
ごめん、と言えば全て許されると思っているあたり、お互いがお互いを溺愛していることを知っているからこその甘え。