ウサギとカメの物語 番外編
おまけ その2 須和梢の友人代表スピーチ。
えー、ここ、こ、こ、この度は、田島家の皆様、そして門脇家の皆様……、本当におめでとうございます!
田島、奈々、しつこいけど、結婚おめでとう!
2人の大切な日に立ち会うことが出来て、私はすごく幸せです。
先ほど司会者の方からご紹介いただきましたが、新婦奈々さんの友人の須和梢と申します。
私のような不慣れな人間が友人代表スピーチというのは気が引けますし、死ぬほど緊張してますが頑張ります!
普段通りにここからは「奈々」とそう呼ばせて下さい。
奈々のこんなに幸せそうな顔を見れて、親友の私としては感無量です。
彼女とは会社の同僚であり同期であり、なによりもかけがえのない友達であり。いいことも、そうでないことも共に味わってきました。
見ての通り美人な奈々ですので、恋愛に悩むことなんてほとんど無いだろうと皆さんお思いでしょうがそれは大きな間違いでございます!
彼女は隣にいる田島にウジウジもじもじ恋焦がれ、かれこれ3年も彼からの告白待ちを突き通した頑固者なのです!
…………おぉ、どよめきが起こりましたね。当然です、3年ってなかなかの長さですからね。
本人たちは気づいていないみたいですが、君たちはずっと前から両想いでした。それは周りの人間から見たら一目瞭然であり、どう見ても相思相愛。さっさとくっつけ!とほぼ全員が思っていたんじゃないかと推察します。
………………見てください、この新郎新婦の顔。
2人とも驚いてますね、これが鈍感な男女の顔ってやつです。笑っちゃいますね。
3年も遠回りしてどうにかこうにかくっついてくれた時には、みんなホッとしたものです。
だって考えてもみてください、3年間私は彼女から恋の相談を受け続けてきたのですから。
どう考えても両想いだから告白しちゃえと言っても否定され、こちらの打つ手は無かったのです。
それがひとたび付き合ってみたら、それはそれはもう暑苦しい程にイチャイチャラブラブで。
会社だろうが居酒屋だろうが道端だろうが、彼らはくっついて離れません。
きっと今もテーブルの下で手を繋いでいることでしょう。
………………そこ!確認しに行かないで!
数人酔っ払いがいるみたいですが、うちの会社の後輩なのであとで蹴飛ばしておきます。
まぁ、なんだかんだ言いましたが、私は彼らがお互いに片想いをしていた期間は無駄じゃないと思っています。
だって、その間に好きな気持ちは強まったわけだし、なによりも相手を思いやる心が大きくなったと思うのです。
それはきっとこれからの夫婦生活に何よりも役立っていくはずですし、長い年月をかけて積み上げてきた信頼関係にも繋がると思っています。
奈々は少々気が強いですが、実は繊細で、そしてとても優しい子です。
以前、私が体調を崩して倒れた時にも付きっきりでいてくれました。それほど責任感もある子なのです。
だから、田島。
きっと奈々はあなたの前で少し強がったり、平気な顔をしたりすることもあると思う。
でもそれは素直になれないだけ。
それをきちんと察して、言葉はいらないから優しく抱きしめてあげてください。
それだけで安心出来ると思うから。
奈々は私にとって、大切な大切な友達です。
彼女がいつも笑顔でいられるように、お互いに支え合って、これからの人生を歩いていって下さい。
今日は2人の明るい笑顔が見れて良かった。
それだけで私も幸せです。
どうか、いつまでもお幸せに。
友人代表、須和梢より。