ウサギとカメの物語 番外編
2 田嶋順の物語
*彼女を想う気持ち*
田嶋順、もうじき31歳。
とある運送会社の営業課で働き始めて9年目。
後輩からは慕われ、上司からは信頼を置かれ、仕事にやりがいを感じている今日この頃。
彼女でもある同じ会社の事務課の門脇奈々とは、紆余曲折あったものの3年の片想いを実らせて付き合うことになり、現在は同棲中。
傍から見れば仕事も恋愛もソツなくこなし、まさにリア充と思われているであろう俺。
いや、まさにそうなんだ。
リア充っていうのは間違ってはいないんだけど。
最近は色々思うことがあるのだ。
それは、『結婚』。
どうして30歳を超えると家族・親戚以外の友人や上司からも言われなければならないんだ?
「田嶋、結婚はどうするんだ?」
「きっと彼女待ってるぞ〜」
「さっさとプロポーズして身固めちまえ!」
分かってる。分かってるよ。
でもほら、タイミングってものがあるだろう?
それくらいこっちでやるから、いちいち口出ししてこないでほしいんだ。